何だかんだと綾辻行人の館シリーズはこれで完全読破です。
前にも書いたと思いますが、私は綾辻先生の愚痴っぽいあとがきに
親近感を覚えてここまでついてきたという完全斜め読者ですから!
うーん…正直どうだろう。
講談社が児童向けミステリーレーベルとして新設しつつも、
文芸書(もしくはライトノベル)第一線で活躍する作家陣を
引っ張っているという、その名の通り“大人も子供も楽しめる”
シリーズなので、私もコレまで小野不由美の『くらのかみ』、
乙一の『銃とチョコレート』を読了、上遠野浩平の『酸素は
鏡にうつらない』を購入しております。
既読の2作品と比べてこの『びっくり館〜』は正直つまらない。
子供向けだからという理由はここでは当てはまりません。
まず、氏が業界を代表する推理作家であるということ。
なのに何故か館のスケールが大幅に縮小されていることです。
館シリーズの最大の魅力は、館の随所に散りばめられた、
一見して無意味ともとれるからくりの数々です。
大の大人である家主と、依頼を受けた建築家:中村青司の
遊び心と大掛かりな悪戯、そして気の利いた洒落、全てが
詰まったからくり。
こんな館で子供を遊ばせたら、それはそれはちょっと怖くて
でも最高に魅力的な遊び場として目に映るに決まってるんです。
なのにびっくり館には仕掛けらしい仕掛けが2つしかなくて、
出てくる部屋数も片手の指で収まる程。
これを館シリーズのスケールダウンと言わずして
なんと申しましょうか。
また、同時進行で進めていた『暗黒館の殺人』の影響も見えて、
オチの部分にはわずかですが共通している部分もあり
手抜き感も否めません。
既読の2作品が、少年たちの冒険とミステリー、そして最後の
大きなどんでん返し!と、児童書としても素晴らしく、また
大人が読めばタイムスリップしたかのようなわくわく感を持って
楽しめた作品だっただけに、最終的にホラーテイストで逃げた
びっくり館には非常にがっかりさせられました。
乙一さんの『銃とチョコレート』はすんごいお薦め★
最後の最後でやられた!と思う見事な伏線です。
そうそう、びっくり館は伏線がかなり弱いんだよなぁ…。